人間の皮膚で最も薄く刺戟に弱い部分としておちんちんの先があるが、二番目に脆い部分の下腹部の皮膚がやられてしまった。なんだか痛いと思いながら過ごしていたのだが、ある日できものが出来ているのを見つけてしまったのだ。魔女の鼻かと思うような赤いぽつぽつの腫れが乳牛の模様のように拡散しており、その範囲は腰や脚の付け根、下腹部の茂みにまで及んでいる。いい皮膚科があるから行ってこいと言われたものの、このできものが艶々の茂みに潜り込んでしまっているため、医者にかかれば剃毛の危機は免れない。セルフ剃毛をもって通院という危ない考えも頭を掠めはするものの現実には至らないだろう。それに皮膚科に女医がいる可能性は極めて低いと、なんとなくイメージで。

さてこのできものは一体何だろうか。この年になって突然アトピーが発症するだろうかと悩んでいる。初めの三日は服が擦れる度に痛みを覚え、次の三日は痛みの中に痒みも感じるようになった。痛み8・痒み2のときもあれば、痛み4痒み6のときもあり、その幅は大きい。仕事中に痒みのピークを迎えるとつらい。茂みを人前で貪り掻くことは社会のマナーに反することなので、より一層痒く感じるのだ。家にいる分には構わないだろう。勿論家の人がいる前では控えるようにしているが、直接掻くことも無いとは言えない。掻くことも無いとは言えない手でよそったごはんを家の人は食べるのだ。