家の人とスーパーに出かけたのです。青果売場にて老婆が「すいません、すいません」と明らかに私たちを呼んでいる様子で、返事をすると「このお芋は、あいち県産?」と尋ねる。ああ字が読めないのかしらと思って「茨城産ですよ」と答えるも、「美味しいの?」と尋ね返す。家の人は少し困って「わからないです」と答えた。老婆は足の付け根が痛くて、行くはずだったところに行けなかったという。そこで売るはずだったこの鍋敷きを10枚100円で買わないか? と、赤いカートから取り出だしたる鍋敷きは、求人広告のちらしを丁寧に折って作られたものだった。鍋敷きが10枚の時点での不要感、それが100円というチープ感、さらに原価ゼロのちらしであり、それには「明るく働ける方」という文字が見える。「使わないので」と断ると「使わないの。そう。」とにこにこ鍋敷きをしまう老婆は、帰りのレジを通る頃には姿を消していました。