お向かいさんに、ちょっと良い家が建っていて、玄関のオレンジ色の照明や塀の装飾や外壁の素地など至るところから小金持ちっぽさを匂わせている。その家から一本道を隔ててお隣りに、低所得者が暮らすアパートがある。昼間にピーピー遊んでうるさいのはここの家の子たちで、だいたいいつも一番下の妹が泣いて外遊びが終わる。

ハロウィンの頃、その貧乏一家のベランダを見ると、アフロ犬の電飾が飾られていた。伝わらないかもしれないけれども、どこから拾ってきたんだか分からない薄汚れたアフロ犬がぴかぴか点滅していた。一方、向かいのプチブルジョワジーは最近になって、子供部屋の窓に電飾、次はその隣の部屋、次は玄関…というようにじわじわとクリスマスムードを漂わせ始めている。気付くと、あわれアフロ犬は取り外されて行方知れずになっていた。